「晩秋」っていつからいつまで？季節の移ろいを感じる言葉の意味と期間
澄み切った青空が広がり、木の葉が色づき始める頃。ふとした瞬間にひんやりとした風を感じると、「もう秋も終わりだな」と感じることがありますよね。そんな時に使う「晩秋」という言葉。具体的にいつからいつまでを指すのか、その意味や、日本の美しい四季の中でどんな位置づけなのか、気になったことはありませんか？
この記事では、「晩秋」という言葉の奥深さに迫り、その期間や情景、そして文学や俳句に登場する「季語」としての魅力まで、分かりやすくご紹介します。
「晩秋」の基本的な意味と期間
「晩秋」とは、その名の通り「秋の終わり」を意味します。秋を「初秋」「仲秋」「晩秋」の3つに大きく分けた、最後の時期にあたります。
いつからいつまで？具体的な期間は「11月」が目安
一般的に「晩秋」とされるのは、11月に入ってから、冬の始まりまでの期間を指すことが多いです。
- 初秋（しょしゅう）: 9月上旬頃まで（残暑が和らぎ、秋の気配が感じられる頃）
- 仲秋（ちゅうしゅう）: 9月中旬〜10月下旬頃まで（秋が深まり、紅葉が本格化する頃）
- 晩秋（ばんしゅう）: 11月上旬〜下旬頃まで（冬の訪れを感じる、秋の終わりの時期）
ただし、この区分はあくまで目安です。地域によって気候が異なるため、北の地域ではもう少し早く、南の地域ではもう少し遅れて晩秋の情景が訪れることもあります。その年の天候によっても、時期が前後することもありますね。
「晩秋」の情景：どんな様子？
晩秋は、まさに冬への準備期間。以下のような情景が特徴的です。
- 木の葉が全て落ち始める: 紅葉のピークが過ぎ、落葉が進みます。木々が冬枯れの様相を見せ始め、足元にはカサカサと音を立てる落ち葉が舞い散ります。
- 肌寒い日が増える: 朝晩だけでなく、日中も冷え込む日が多くなります。厚手のコートやマフラーが手放せなくなるでしょう。
- 冬支度が進む: 山には雪が積もり始めたり、渡り鳥が南へ向かったりするなど、自然界では冬支度が本格化します。人々も暖房器具を出したり、冬服を準備したりと、冬への備えを始めます。
- 陽光が弱まる: 日差しはあっても、どこか弱々しく、温かさが少ないのが晩秋の陽光です。夕暮れも早く訪れ、もの悲しい雰囲気を感じることもあります。
このような情景から、「晩秋」という言葉には、**「物寂しさ」や「去りゆく季節への名残り惜しさ」**といった感情が込められることが多いです。
「晩秋」は季語？俳句や手紙での使い方
「晩秋」は、俳句や短歌の世界で、そして手紙の挨拶文などでもよく使われる**「季語」**です。季語は、その季節ならではの情景や感情を凝縮した言葉であり、日本の豊かな四季を感じさせる大切な表現です。
季語としての「晩秋」
俳句では、晩秋を詠むことで、過ぎ去る秋への哀愁や、来る冬への期待、あるいは自然の厳しさといった感情を表現します。
例：
- 晩秋や 山に声なし 雲まばら （冬が近づき、山には人影もなく、雲がまばらに浮かぶ静かな晩秋の情景）
手紙での「晩秋」の例文
手紙の書き出しや結びの挨拶に「晩秋」を使うと、季節感のある丁寧な印象を与えることができます。
- 「晩秋の候、皆様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。」 （11月頃の手紙の書き出しとして）
- 「晩秋の折、どうぞご自愛ください。」 （11月頃の手紙の結びとして）
「晩秋」と似た言葉との違い
「晩秋」と似たような言葉に「暮秋（ぼしゅう）」や「秋の暮れ」などがあります。これらはほぼ同じ意味で使われますが、
- 暮秋: 晩秋と同様に秋の終わりを指し、特に文学的な表現で使われることが多いです。より詩的な響きがあります。
- 秋の暮れ: 「秋の夕暮れ時」という意味もありますが、広義には「秋の終わり」を指すこともあります。
これらの言葉も、過ぎゆく秋の情景や、少しもの悲しい感情を伴うニュアンスで使われることが一般的です。
まとめ：晩秋は、冬へと続く静かで美しい秋の終わり
「晩秋」は、ただの「秋の終わり」ではありません。紅葉が終わりを告げ、冬の気配が忍び寄る、静かで、どこか寂しくも美しい季節の移ろいを表す言葉です。
特に11月は、この晩秋の情景を肌で感じられる時期。澄んだ空気の中で、過ぎゆく秋を慈しみ、来る冬に備える。そんな日本の豊かな季節感を、「晩秋」という言葉とともに味わってみてはいかがでしょうか。