知っておきたい!選挙に関する贈り物のマナーガイド
選挙期間中や当選後など、候補者や当選者へ「何か贈りたい」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、選挙に関する贈り物は、時期や内容によって法律で制限されている場合があり、知らずに贈ってしまうと、思わぬトラブルに発展することも。
ここでは、選挙の「陣中見舞い」「事務所開き祝い」「当選祝い」について、一般的なマナーや注意点を分かりやすく解説します。
選挙に関する贈り物、基本の「き」
選挙における贈り物は、公職選挙法という法律によって厳しく制限されています。これは、金銭や物品のやり取りによって、公平な選挙が阻害されることを防ぐためです。
公職選挙法における寄付の制限
公職選挙法では、政治家(候補者を含む)が有権者に対して寄付を行うことや、有権者が政治家に対して寄付を行うことを原則として禁止または制限しています。ここでいう「寄付」には、金銭だけでなく、物品の贈与も含まれます。
特に、候補者が選挙区内の人に対して寄付をすることは原則として禁止されており、有権者が候補者や政治家個人に寄付をすることも制限があります。例外として認められるケースもありますが、非常に限定的です。
このため、個人的な関係性であっても、選挙期間中やその前後に候補者や政治家に対して金銭や物品を贈る際には、細心の注意が必要です。
陣中見舞い:選挙活動中の候補者を応援したいとき
「陣中見舞い」は、選挙活動で奮闘する候補者を応援するために贈られるものです。
贈る時期と内容の注意点
時期: 選挙運動期間中に贈られることが多いです。ただし、金銭や高額な物品は避けるべきです。
内容: 公職選挙法に抵触しない範囲で、選挙運動の労をねぎらうための差し入れが一般的です。具体的には、以下のようなものが考えられます。
飲食物: 大人数で分けられる、日持ちのする個包装のお菓子や、ペットボトル飲料などが一般的です。ただし、高級なものや、候補者個人への特定の贈答品と見なされるものは避けるべきでしょう。
実用的な消耗品: 筆記用具やティッシュペーパーなど、選挙事務所で役立つ消耗品。ただし、これも高額にならない範囲で。
避けるべきこと
現金や商品券: これらは公職選挙法で厳しく禁止されています。絶対に避けましょう。
高価な品物: 賄賂と見なされる可能性があり、受け取る側にも贈る側にもリスクが生じます。
候補者個人を特定する贈答品: 「〇〇さんへ」といった形で候補者個人に贈るものは、寄付と見なされる可能性が高まります。あくまで「選挙事務所への差し入れ」という形を心がけましょう。
事務所開き祝い:選挙事務所開設のお祝い
選挙事務所の開設は、選挙活動が本格的にスタートする重要な節目です。
贈る時期と内容の注意点
時期: 事務所開きの際に贈られます。
内容: 陣中見舞いと同様に、金銭や高額な物品は避けるべきです。
胡蝶蘭や観葉植物: 事務所の開店祝いと同様に、入り口を華やかに彩る胡蝶蘭や、長く飾れる観葉植物は定番です。ただし、あまりにも豪華すぎるものは避け、相場を考慮しましょう。
実用的な備品: 消耗品や、事務所内で使用できる事務用品など。こちらも高額にならない範囲で。
避けるべきこと
陣中見舞いと同様に、現金や商品券、高価な品物は避けましょう。
また、選挙事務所は不特定多数の人が出入りするため、個人的なメッセージが書かれたものや、特定の団体名が目立つものなどは配慮が必要です。
当選祝い:見事当選した候補者へのお祝い
見事当選を果たした候補者へのお祝いは、喜びを分かち合う気持ちを伝えるものです。
贈る時期と内容の注意点
時期: 当選確定後、間を置かずに贈るのが一般的です。
内容: 当選祝いも、公職選挙法における寄付の制限を受ける可能性があります。特に、当選者個人に対する金銭や物品の贈与は原則禁止と理解しておくのが安全です。
祝電(お祝いのメッセージ): 最も一般的で安全な方法です。心からの祝福のメッセージを伝えることができます。電報サービスなどを利用すると、よりフォーマルにお祝いを伝えられます。
お花(当選祝いで公選法に抵触しないもの): 一般的に、選挙運動期間外であれば、当選祝いとして花を贈ることは認められています。ただし、過度に高価なものや、有権者への利益供与と見なされる可能性のあるものは避けるべきです。贈る前に、念のため確認することをおすすめします。
一般的なビジネス上の慣例に沿ったもの: 例えば、会社として取引のある政治家への当選祝いなど、一般的なビジネス上の慣例として認められる範囲であれば、贈られるケースもありますが、極めて限定的です。
避けるべきこと
現金や商品券: 当選祝いであっても、これらは公職選挙法で厳しく禁止されています。
高価な品物: 賄賂と見なされる可能性があり、当選者本人にも迷惑がかかります。
当選者個人宅への訪問: 相手の都合を考えず、当選直後に自宅を訪問して直接贈答品を渡すような行為は、控えるべきでしょう。
共通する重要な注意点
公職選挙法を遵守する: 何よりも大切なのは、公職選挙法の規定を理解し、遵守することです。少しでも疑問がある場合は、選挙管理委員会や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
相手に迷惑をかけない: 良かれと思って贈ったものが、かえって相手に迷惑をかけたり、誤解を招いたりすることがあります。相手の立場を尊重し、配慮することが最も重要です。
メッセージで気持ちを伝える: 物品を贈ることが難しい場合でも、祝電や手紙など、言葉で sincere な気持ちを伝えることはできます。これが、一番確実で、相手に負担をかけない方法かもしれません。
まとめ:心からの応援は、マナーを守って伝えよう
選挙に関する贈り物には、様々なルールやマナーがあります。特に公職選挙法による制限は厳しいため、贈る時期や内容には細心の注意が必要です。
「応援したい」「お祝いしたい」という気持ちはとても大切ですが、その気持ちが相手に負担をかけたり、法律に抵触したりすることのないよう、事前にしっかりと確認し、適切な方法で気持ちを伝えるように心がけましょう。