知ってる?コンダクト・リスクとは?
「コンダクト・リスク」って、なんだか難しそうな言葉ですよね。でも、実は私たちの暮らしやビジネスと密接に関わっている大切な考え方なんです。
今回は、このコンダクト・リスクについて、専門用語を使わずに、誰にでもわかるようにやさしく解説していきます。「コンプライアンスと何が違うの?」といった疑問にもお答えしますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
そもそも「コンダクト・リスク」って何?
「コンダクト(conduct)」は「行為」や「振る舞い」という意味です。「コンダクト・リスク」とは、日本語にすると「行為上のリスク」となります。
簡単に言うと、企業や組織、そこで働く人々の**不適切な行為(conduct)**によって、お客さまや市場に損害を与えてしまうリスクのことです。
「不適切な行為」には、以下のようなものが含まれます。
不適切な商品・サービスを販売する(例:お客さまの状況に合わない高リスクな金融商品を販売する)
お客さまをだますような、わかりにくい説明をする(例:手数料やリスクについて、わざと小さな文字でしか説明しない)
利益相反行為を行う(例:お客さまの利益よりも、自社の利益を優先してしまう)
このような行為によって、お客さまが損をしたり、市場の信頼が損なわれたりする可能性を「コンダクト・リスク」と呼んでいます。
コンプライアンス・リスクとの違いは?
「コンダクト・リスク」と似ている言葉に「コンプライアンス・リスク」があります。この2つの違いを、わかりやすく解説しますね。
コンダクト・リスク | コンプライアンス・リスク | |
定義 | **不適切な行為(conduct)**による、<br>お客さまや市場への損害リスク | 法令やルール違反による、<br>企業への罰則や信用の失墜リスク |
ポイント | 「お客さま視点」が大切 | 「ルール遵守」が大切 |
具体例 | 相手を騙すような説明をする | 法律で定められた説明義務を果たさない |
コンプライアンス・リスクは、「法律や社内ルールを守っているか?」というルールに焦点が当たっています。一方、コンダクト・リスクは「その行為がお客さまや市場にとって適切か?」という行為そのものに焦点を当てています。
たとえルール上問題なくても、お客さまにとって不利益になるような不適切な行為であれば、それはコンダクト・リスクに該当するんです。
例えば、
法令違反ではないけど、お客さまに不利な情報だけを隠す
ルール通りだけど、お客さまの理解度を確認せずに契約を進める
といったケースは、コンプライアンス上はOKでも、コンダクト・リスクが高い行為と言えます。
金融庁がコンダクト・リスクへの注意を呼びかけているのも、まさにこの点です。単にルールを守るだけでなく、お客さまの利益を第一に考えた「誠実な行為」が求められているんですね。
コンダクト・リスクの具体例を見てみよう
コンダクト・リスクをより身近に感じるために、具体的な例をいくつかご紹介します。
例1:保険の販売
高齢のお客さまに、複雑で理解が難しい保険商品を、説明もそこそこに販売してしまう。
→ お客さまが本当に必要な保障を選べていないというリスク
例2:投資信託の販売
手数料が高い投資信託を、お客さまの意向を十分に確認せずに勧めてしまう。
→ お客さまが不必要なコストを払うことになるというリスク
例3:自動車メーカー
燃費データを偽って発表してしまう。
→ 消費者が不正確な情報に基づいて購入してしまうというリスク
これらの例からわかるように、コンダクト・リスクは、単なる法令違反だけでなく、企業の姿勢や倫理観が問われるリスクなんです。
コンダクト・リスクを管理するためには?
企業がコンダクト・リスクを管理することを「コンダクト・リスクマネジメント」と言います。
これは、単に「ルールを守りなさい」と指導するだけでなく、以下のような対策を通じて、従業員一人ひとりが「お客さまにとって何が誠実な行為か」を考えて行動できるようにするものです。
倫理観や価値観を共有する研修を行う
お客さまの声や苦情を真摯に受け止め、改善につなげる
お客さまの状況をしっかり確認するチェックリストを作成する
これにより、従業員が「お客さま本位」の行動を自律的に取れるようになり、結果として企業の信頼度も高まります。
まとめ
コンダクト・リスクとは、企業や組織の「不適切な行為」がお客さまや市場に損害を与えるリスクのこと。
単にルールを守るだけでなく、「お客さまにとって何が一番良いか」という誠実な姿勢が問われるのがポイントです。
金融業界だけでなく、すべての企業にとって大切な考え方であり、このリスクをしっかり管理していくことが、企業の未来を守ることにつながるでしょう。
これからも、コンダクト・リスクという言葉を耳にしたら、「ああ、お客さまへの誠実な振る舞いのことだな」と思い出してみてくださいね。